空売り入門

■私の空売りでの失敗例

２００８年６月１０日（火）　ゴールドウィン（8111）　３５８円　１０００株　空売り
２００８年６月１２日（木）　ゴールドウィン（8111）　５２４円　１０００株　買戻し

　　さて、上は私が実際に経験した空売りの一例ですが、損失がどれくらいだか分かりますか？
普通に考えれば、３５８−５２４　＝１７６　×　１０００　＝　１７万６，０００円　ですが、空売りの場合そうではないのです。
これに、逆日歩と呼ばれる品貸料が加算されます。

　　では１日持ち越しただけで、逆日歩はいくらになったでしょうか？
何と４万５，０００円になりました！！とても恐ろしいことです。なぜこんな額になるのでしょうか？
もし空売りをしようと考えているのであれば、上記のような事が起こりうるということを理解していなければなりません。

■私は無知だった
　　ゴールドウィン（８１１１）が競泳用水着レザーレーサーの話題で高値を更新していた時、私はすぐさま空売りしました。実際次の日には、新規売建禁止銘柄になり、売りたくても売れない状態になったので、私はひそかに喜びました。
今までも逆日歩は経験していましたが、払っても１日５００円程度でした。品貸料には上限があると聞きかじっていたので、それぐらいが上限だろうという思い込みもありました。追い討ちをかけたのが、ヤフーファイナンスの掲示板です。逆日歩がどれくらいか計算したという書き込みがあり、上限を適用しても１日１５００ぐらいのことが書いてありました。これなら痛くもかゆくもないと思っていました。
しかし、それは大きな誤りでした。

　　実際には１日持ち越しただけで、４万５０００円もついてしまいました。いずれ下落することは
わかっていましたが、逆日歩についてぜんぜん無知だったことを思い知らされたので、とにかく一旦買い戻しました。それで約２１万円の損失です。これは、自分への罰として受け入れようと覚悟の上で、払いました。これくらい痛い思いをしないと、教訓は学べないのです。

■極端な逆日歩が発生するケース

では、どうしてこれほど大きな逆日歩が発生したのか検証してみましょう。

品貸料については次のような決まりがあります。

ゴールドウィンの株価をおおまかに５００円として、５万円以下ですから、上限は１００円になります。
さらに注記より、１００円　÷　１０００株　＝０．１円　です。
さらに、これが、「１円以下の場合は、１円５０銭とし」という規定により、最高は１円５０銭となります。

１株につき１円５０銭ですから、１０００株で１５００円です。

しかしこれで終わりではありません！！
日証金のホームページでさらに調べてみると次のような記述があります。

株式市況の激変または急激な株券の不足状態の発生等により、異常な貸株超過状態が生じ、またはそのおそれがあると認められるときは、臨時措置として上記区分の最高料率を4倍とし、また極めて異常な貸株超過状態が生じ、またはそのおそれがあると認められるときは、臨時措置として上記区分の最高料率を10倍とする。

なんと異常事態の場合には、１０倍に引き上ることが出来るという規定が適用されたのです！！
これにより、１，５００円　×　１０倍　＝　１万５，０００円

さらに、次のような決まりがあります。

火曜日の約定分で逆日歩がつくと、3日分の支払いを求められます。これは約定日が火曜日の場合、受渡日は金曜日になり、仮に1日だけ建て玉を持って水曜日に決済したとしても、この分の受渡日は月曜日になるため、金曜日、土曜日、日曜日の3日間が逆日歩の計算日数になるためです。月曜日が振替休日で週末が3連休になると、水曜日決済分の受渡日は火曜日になるため、逆日歩は4日分かかります。

私が約定したのは、まさに火曜日！！
わずか１日保有しただけで３日分、１万５，０００円　×　３日　＝　４万５，０００円
となったわけです。

■失敗から学べること

　　知らないということは恐ろしいことです。空売りはただでさえ青天井といって、どこまでもリスクが高くなる投資手法です。リスクについては十分に勉強しておきましょう。そうでないと、私のようにパニックになってしまいます。